子どもが3人いると、教育費は「3人分の総額」だけでは見通しにくいものです。入学や受験、大学進学の時期が重なると、数年だけ家計の負担が大きくなることがあります。反対に、上の子の進学が落ち着いた後に、下の子の支出が本格化する家庭もあります。
この記事では、上の子が大学進学期、真ん中の子が中学・高校へ進む時期、末子が小学生という家庭を例に、支出の重なりを整理する方法を紹介します。特定の家庭への投資助言ではなく、家族で計画を作るための概算例です。学校選択や住む地域、習い事、進路によって実際の金額は変わります。
最初に「3人分の総額」より支出の時期を見る
教育費を準備するとき、最初に生涯合計を出すと数字が大きく、何から始めればよいか分からなくなることがあります。先に確認したいのは、いつ、何の支払いが発生するかです。入学金や受験料のように期限が決まっている費用と、毎月の授業料・習い事のように継続する費用を分けると、準備の優先順位が見えてきます。
- 入学前後:受験料、入学金、制服・教材・端末など
- 在学中:授業料、給食費、通学費、教材費、部活動費
- 学校外:塾、スポーツ、英会話、ダンス、音楽など
- 進路変更時:塾や予備校、留学、寮・一人暮らしなど
「学校に納める費用」だけを教育費と考えると、塾や遠征費、通学定期、受験時の交通・宿泊費などが抜けやすくなります。子どもごとに費用を分けたうえで、家計全体の年ごとの支出に並べてください。

公的な平均額は「出発点」として使う
文部科学省の令和5年度「子供の学習費調査」は、保護者が支出した学校教育費、学校給食費、学校外活動費などを集計しています。令和8年1月に数値訂正が公表されているため、古い記事や表を参照するときは訂正後の資料か確認しましょう。訂正後の年額平均は次の通りです。
| 学校段階 | 公立 | 私立 |
|---|---|---|
| 幼稚園 | 約18.5万円 | 約34.7万円 |
| 小学校 | 約36.7万円 | 約174.2万円 |
| 中学校 | 約54.2万円 | 約156.0万円 |
| 高校(全日制) | 約59.7万円 | 約117.9万円 |
この数字は調査対象となった子ども1人あたりの年間平均で、各家庭の請求額ではありません。特に学校外活動費は、塾や習い事の利用状況で差が出ます。また、大学の学費や生活費は含みません。平均額をそのまま3人分×年数で計算するのではなく、家庭の学校選択や習い事を反映させるための目安として使います。
3人の支出が重なる時期を年表にする
次は子どもの学年と進路希望を縦に並べ、向こう10年ほどの大きな予定を書きます。進学先を決めきれないときは、公立進学を基本線にして、私立や塾、留学などを検討する場合の追加額を別に置きます。決めていない予定を「必ずかかる費用」として扱わないのがポイントです。
| 時期の例 | 上の子 | 真ん中の子 | 末子 | 確認したい負担 |
|---|---|---|---|---|
| 今年〜2年後 | 大学の授業料・通学費 | 中学進学・塾 | 小学校・習い事 | 入学・受験の臨時支出 |
| 3〜5年後 | 在学または卒業後 | 高校受験・高校進学 | 中学進学・部活動 | 受験費と通学費が重なる可能性 |
| 6〜10年後 | 家計への影響を再確認 | 大学進学の検討 | 高校進学・塾 | 大学初年度費用の準備状況 |
これは進学時期を整理するための例で、特定の子どもの年齢や進路を前提にした予測ではありません。実際の学年に合わせて年表を置き換え、入学の年だけ色を付けると、支払いが集中する年を見つけやすくなります。年の区切りは、学校年度(4月〜翌3月)にそろえると、受験料や入学金の時期も書き込みやすくなります。

習い事や塾は子ども別の予算にする
習い事は、きょうだいで同じ金額になるとは限りません。スポーツの月謝は抑えめでも、用具や遠征費がかかることがあります。英会話やダンス、音楽は発表会・検定・教材費が別途必要な場合があります。塾も、受講料以外に模試、講習、教材、交通費が加わることがあります。
家計では「習い事費」とひとまとめにせず、子ども別に、月謝・年に数回の費用・更新や買い替え費用を分けて記録します。費用が分からないものは、教室やクラブの料金表を確認してから入れます。続けるか迷っている習い事は、いったん必須の支出と分けておくと、家計の余力を検討しやすくなります。
月謝だけを見て「払える」と判断すると、合宿や発表会、遠征がある月に赤字になることもあります。年額に直して12で割った金額を家計表に入れ、季節ごとのまとまった支出は別口座や目的別の預金で備える方法もあります。
準備済み資金とこれから積み立てる額を分ける
子どもごとに、教育費としてすでに取り分けている預貯金、学資保険などの受取見込み、祖父母からの援助予定を整理します。援助や満期金は、時期・金額が確定しているかも確認してください。未確定のものを確定資金として先に差し引くと、あとで不足する可能性があります。
不足額を出したら、「必要になるまでの年数」で分けます。数年以内に使う可能性があるお金は、値下がりすると支払いに間に合わないことがあるため、値動きの小さい預貯金を中心に考えます。まだ時間があり、生活費や緊急資金を確保した後にも余力がある家庭では、親のNISAや、制度開始後のこどもNISAなどの運用を比較する選択肢があります。投資は元本が保証されず、必要な時期に評価額が下がることがあります。
「3人だから運用を急ぐ」「全額を投資に回す」という決め方ではなく、生活費、住宅費、教育費、老後資金のバランスを見て、運用する額を決めます。進学時期が近づいたら、使う予定の金額を段階的に現金へ移す方法も検討できますが、売却時期や商品を一律に決めるものではありません。

家計から無理なく出せる月額を確認する
月の積立額は、教育費の目標額を残り月数で単純に割るだけでは決めにくいものです。住宅ローンや生活費、保険料、毎月の貯蓄、突発的な支出を差し引いて、家計が続けられる額を確かめます。ボーナスをあてにする場合は、減額や不支給でも計画が崩れないかを確認します。
- 生活費と緊急予備資金を確保する
- 子どもごとの進路予定と大きな支出年を書く
- 預貯金・保険・援助など、確度の高い準備額を整理する
- 不足する時期と金額を子ども別に出す
- 毎月の積立可能額を家計全体から決める
- 公立・私立、塾、習い事、留学などの選択を変えて再計算する
毎月の積立だけでは難しい場合、支出を減らす、進路を再検討する、奨学金や教育ローンの条件を早めに確認するなど、複数の方法を並べて考えます。奨学金は返還が必要なものと不要なものがあり、教育ローンとは借りる人や返済開始時期などが異なります。利用を決める前に、募集要件や金利、返還総額、申込期限を公的機関・金融機関の最新情報で確認しましょう。
シミュレーターで家庭ごとの予定に置き換える
この例を、ご家庭の子どもの人数や学年、習い事、進学予定に合わせて置き換えるには、教育費・家計シミュレーターで条件を入力してください。まず「毎年いくらかかるか」を自分で決めるのではなく、学校段階・習い事・進学希望から見積もり、準備済み資金と月々の積立を並べるのが出発点です。入力条件を変えると、結果も変わります。試算は将来の費用や運用成果を保証するものではありません。
教育費の準備方法は、記事一覧から預貯金、学資保険、奨学金、教育ローン、NISAに関する比較もあわせて確認できます。
まとめ:3人分の合計より、支出が重なる年を先に備える
きょうだいが複数いる家庭では、教育費の総額だけでなく、入学や受験が同じ時期に重なるかが家計に影響します。子どもごとに学校費、習い事、進路の候補を分け、年表にして支出時期を見えるようにしてください。
平均額は家庭の将来額を約束するものではありません。文部科学省の統計や学校からの案内を目安にしながら、本人の希望と家計の余力に合わせて毎年更新することが大切です。使う時期が近いお金と長期で準備するお金を分け、投資は必要資金を確保したうえでリスクを理解して検討しましょう。
参考資料
- 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査 結果の概要」(令和8年1月訂正後の資料)
- 日本学生支援機構(JASSO)奨学金情報
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の金融商品・進路・借入れを勧めるものではありません。統計値は調査年度の平均で、将来の費用や投資成果を示すものではありません。制度や募集条件は変更される場合があるため、必ず公的機関・各提供元の最新情報をご確認ください。