教育費の準備方法に、誰にでも当てはまる正解はありません。いつ使うお金か、家計にどれだけ余力があるか、値下がりを受け入れられるかで選び方が変わります。預貯金、学資保険、2027年開始予定の未成年者向けNISAの特徴を整理し、教育費と資産運用をどう両立するか考えます。

準備方法を選ぶ前に、教育費の時期を分ける
教育費は一度に必要になるとは限りません。入学金や制服、教材の購入は入学前後に集中し、授業料は学期ごとや年ごとに支払います。習い事や塾は毎月、大学の一人暮らし費用はまとまった初期費用と月々の支出の両方があります。まず子どもの年齢や進路の希望をもとに「いつ」「何に」「いくらくらい」必要になるかを書き出してみましょう。
時間軸を把握すると、預貯金で確保したい資金と、長期で準備を検討できる資金を分けられます。使う時期が近いお金ほど、必要な日に金額が大きく下がっていないことが大切です。まだ先に使う資金であれば、価格変動を受け入れられる範囲で運用を考える余地があります。ただし、運用期間が長くても利益が約束されるわけではありません。
預貯金:支払時期が近いお金を管理しやすい
預貯金は、必要なときに引き出しやすく、投資信託のように市場価格が毎日変動しないことが特徴です。数年以内の入学準備金や、家計の急な支出に備える生活予備費を置く方法として検討できます。一方、預金金利が物価上昇率を下回ると、同じ金額で買えるものが減る可能性があります。預金保険制度の対象となる預金には保護の範囲が定められているため、預ける商品や金融機関の説明も確認しましょう。
預貯金で準備する場合でも、教育費専用の口座を作る、毎月自動で積み立てる、進学時期ごとに目標額を設定するなど、続けやすい仕組みを作ると管理しやすくなります。投資と比べて増え方は限定的でも、支払時期が迫っている資金を値下がりリスクから遠ざけられることは大きな役割です。
学資保険:保障と受取条件を合わせて確認
学資保険は保険料を払い込み、契約で定めた時期に祝い金や満期保険金を受け取る商品です。契約者に万一のことがあった場合に以降の保険料払込みが免除されるなど、保障を備える商品もあります。保障内容や受取時期は商品ごとに異なり、教育費の支払いタイミングに受取日が合うか確認が必要です。
比較の際は返戻率だけに注目せず、払込保険料総額、受取総額、受取の条件、払込期間、特約の内容、途中解約時の返戻金を見ます。契約後早い時期に解約すると、受け取る金額が払込保険料を下回る場合があります。保険料を長期間払い続けても家計に無理がないか、毎月の支出や他の保障との重複も点検しましょう。
学資保険は「預ければ必ず大きく増える商品」ではなく、保障機能のある保険契約です。貯蓄部分と保障部分を分けて考え、契約概要や設計書を読み、分からない言葉は保険会社に確認してから判断します。

未成年者向けNISA:2027年開始予定の制度を確認
2026年10月時点で、0〜17歳向けの新しいNISAつみたて投資枠はまだ開始していません。金融庁の公表資料には2027年からの制度として、年間投資枠60万円、非課税保有限度額600万円などが示されています。対象商品や口座開設手続き、払い出し条件などは制度の開始前後に変更・具体化される可能性があるため、利用を検討する段階で金融庁と金融機関の最新案内を確認してください。
NISAは投資信託などで得られた利益が非課税になる制度であり、元本保証ではありません。市場の状況によって評価額が下がり、売却時に投資元本を下回ることがあります。教育費に充てる予定のお金をNISAに入れる場合は、いつ使うか、値下がり時に別の資金で支払えるか、積立額を減らす余地があるかを考えておきましょう。
公表資料では12歳以降の払い出しに、子どものための資金であることや同意書面など一定の要件を設ける案が示されています。自由なタイミングで無条件に引き出せると決めつけず、旧ジュニアNISAの仕組みとも混同しないようにしましょう。
教育費と家計の資産運用を両立させる考え方
教育費を積み立てると、住宅ローンの繰上げ返済、老後資金、生活防衛資金など、他の家計目標とのバランスが気になることがあります。子どもの将来のために投資を優先し過ぎて、親の老後資金や急な医療費の備えが不足すると、後から家計全体に無理が出ることもあります。家族全体の収支と資産を見て、どの目標にどれだけ配分できるか考えるのが出発点です。
まず生活費の予備資金や近い時期の支出を確保し、そのうえで毎月の積立に回せる金額を決めます。運用する場合は、教育費全体の一部に留める、使う時期が近づいたら値動きのある資産の割合を見直すなど、下落した時の対応をあらかじめ考えておく方法があります。具体的な割合や商品は家族の収入、資産、リスク許容度によって異なります。
「教育費か投資か」の二択にしなくてもかまいません。例えば近い入学費用は預貯金で確保し、数年先以降の資金は家計の余力の範囲で積み立て、長期資金に限って制度開始後のNISAを比較する方法があります。学資保険を利用する場合も、その保障が家庭に必要かを見たうえで、他の方法と組み合わせます。
3つの方法を比べるための表
| 比較項目 | 預貯金 | 学資保険 | 未成年者向けNISA |
|---|---|---|---|
| 元本・価格変動 | 商品による。市場価格の変動はない普通預金等 | 契約条件に基づく。早期解約では払込額を下回ることがある | 投資商品の価格が上下し、元本割れの可能性 |
| 資金の使いやすさ | 比較的引き出しやすい | 契約に定める受取時期・解約条件による | 制度上の払い出し条件を確認 |
| 主な役割 | 近い時期の資金確保 | 計画的な積立と保障 | 長期投資の利益を非課税にする選択肢 |
わが家で決める手順
- 入学・進学・習い事など、資金を使う時期と目標を整理する
- 毎月の収支から生活予備費を確保する
- 近い時期に使う資金と、時間をかけて準備できる資金を分ける
- 保険に保障を求めるのか、積立を求めるのか目的を明確にする
- 投資を検討する場合、元本割れ時の対応と払い出し条件を理解する
- 半年〜1年ごとに家計・教育費の見通しを見直す

よくある質問
教育費はすべてNISAで準備してもよいですか?
投資には価格変動があり、必要な時期に評価額が下がっている可能性があります。すべてを投資に回すと支払いに影響することもあるため、使う時期と家計の余力を分けて考え、値下がり時にも困らない方法を検討してください。
学資保険とNISAはどちらが得ですか?
一律に比べられません。学資保険には契約による保障があり、NISAは投資商品の値上がり益等が非課税になる制度ですが、元本保証はありません。必要な保障、運用期間、途中解約・払い出し条件を比べます。
こどもNISAの枠を毎年使い切るべきですか?
制度枠の利用を目的に、無理をして投資する必要はありません。家計に余力があり、値下がりリスクを理解して長期で使わない資金の範囲で検討します。
まとめ:準備方法は「使う時期」と「家計の余力」で分ける
預貯金は近い時期に使う資金、学資保険は契約に基づく保障と積立、NISAは長期投資の利益を非課税にする制度として特徴が異なります。2026年10月時点で未成年者向け新制度は2027年開始予定です。制度の枠や税制メリットだけで決めず、支払時期、家計、元本割れの可能性、契約条件を比べ、家族にとって無理のない組み合わせを考えましょう。
参考資料
情報確認日:2026年10月11日。制度情報は公表資料に基づく一般的な整理です。投資には元本割れの可能性があります。制度開始前後に内容が更新される可能性があるため、金融庁・金融機関の最新情報をご確認ください。